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畑にミネラルを取り戻す

当農園がミネラルに着目するのには理由があります。

それは日本の畑のミネラルが枯渇しているため、以前に比べ野菜の栄養価がひどく減少しているからです。

戦後、国が食品の栄養成分を分析してきたデータを比較すると、終戦からまもない1951年から2001年にかけて、野菜の栄養価が激減していることが分かります。


ホウレンソウ 100gあたり成分

1951年 ビタミンA  8,000㎎  ビタミンC 150㎎  鉄分 13㎎
2001年 ビタミンA    700㎎  ビタミンC  35㎎  鉄分  


ニンジン  100gあたり成分

1951年 ビタミンA 13,500㎎  ビタミンC 10㎎  鉄分   2㎎
2001年 ビタミンA  1,700㎎  ビタミンC  ㎎  鉄分 0.2


文部科学省発行  食品成分分析調査より



野菜の栄養素の低下にはいくつか理由があります。そのうちの大きな理由の一つが土壌中のミネラルの減少であると当農園では考えています。


データで栄養素の数値が高かった1951年は、まだ農業の近代化がほとんど行われていない時代です。
化学肥料もほとんど使われておらず、畑に入れる肥料は家畜や人間の糞尿をならしたものが主流でした。

畑のミネラルの減少が始まったのは、この家畜や人間の糞尿から、化学肥料へと肥料の形態が変わったころだと思われます。

かつて人はその土地でできた野菜を食べ、自分たちの排せつ物を畑に戻して肥料にするという、循環型の農業を営んでいました。

元々畑にあったミネラルは、野菜となり、生き物の排せつ物となって、畑と人間の間をぐるぐる回っていたのです。

110701米
(稲は少し例外。田んぼは毎年、川や池から大量の水が流れ込むので、その水に含まれるミネラルで、最低限のミネラルを維持しているのです)


しかし戦後、化学肥料の急速な普及で、人間や家畜の排せつ物は肥料として使われなくなります。
さらに下水施設の発達で、排せつ物は浄化され、川や海へ流されるだけの存在になってしまったのです。

畑のミネラルはその供給源を絶たれ、野菜に吸収され、畑から出ていくだけの存在となります。

畑のミネラル成分が枯渇しているのは、私たち人間が知らず知らずの間に、ミネラルの循環を切断してしまったことに原因があるのです

110701カエル改
(ミネラルは人と畑の間を循環していました)

畑のミネラルが減少すれば、当然野菜に含まれるミネラルも減少します。

そしてミネラルが減少すると、野菜は光合成能力が低下します

つまり光合成で作られる炭水化物(CHO)の量が減るので、上記の栄養分析表のように、炭水化物が原料のビタミンなどの栄養素も低下しているのです。

110701マクワ苗
(野菜はミネラルがないと栄養素を作り出せません)

またミネラルが不足すると植物は様々な生理障害を起こします
病害虫に弱くなり、農薬がなければ育てられない状態になります。

人類は何千年もの間、農薬など使わなくても野菜を作り続けていました。
しかし現在、農薬を使用しないと農業が成り立たないのは、畑のミネラル不足に大きな要因があるように思われます。

110701キュウリ虫食い
(虫食いだらけのキュウリ苗を、ミネラルを含んだ畝に定植した様子)


失われたミネラルは何らかの形で畑に戻さなければ、決して増えることはありません。
当農園が積極的にカキ殻や海藻肥料を畑に入れているのは、海へ流れ出たミネラルを少しでも畑に取り戻したいからなのです。

実は、ミネラル栽培でできた野菜は「ミネラルが豊富な野菜」ではありません。
正確に言うならば「失われたミネラルを取り戻した野菜」という表現が適切です。


これからの農業は、否が応でもミネラルの重要性を迫られる時代になると思います。
なぜならミネラルの不足は、野菜だけではなく、人間の健康にも重大な危険をもたらすからです

ミネラルの不足が人間の健康に与える影響については、また後日。

長い解説にお付き合いいただき、ありがとうございました。




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プロフィール

オオバヤシカズヒロ

Author:オオバヤシカズヒロ
岡山の県北、鏡野町にある大林農園のブログです。

栽培品目は ジャガイモ、ニンジン、サツマイモなどの根菜を中心に、夏はマクワウリ、秋・冬は食用ホオズキなどの変わった作物も栽培しています。

安全で栄養価が高く、そして美味しい野菜作りを、植物生理と土壌科学の視点から追求しています。

また野菜だけではなく、そのほか様々な食品を通じて、人が健康であるためには何が大切なのかを探求しています。

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