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映画「ひかりのおと」

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久々のブログの更新です。
今日は、先日鏡野町で上映された映画「ひかりのおと」のコメントを書きたいと思います。

映画「ひかりのおと」は、鏡野町のとなり、真庭市在住のトマト農家であり、映画作家でもある、山崎樹一郎さんが手がけた初の長編映画です。
撮影は全て真庭市で行われ、キャストも地元岡山にゆかりのある人を起用した地元産の映画。現在、岡山県内を巡回上映中で、先日11月20日、地元、鏡野中学校の講堂でも上映会がありました。

「ひかりのおと」は、とても真面目な映画です。
娯楽性を追求した流行りの映画とは、映画の「質感」そのものが大きく異なります。
人によって評価が分かれる作品かもしれませんが、いま、この映画を上映することは、とても意義のあることだと私は感じています。
2011年のいま現在。3.11の震災があり、福島の原発事故があり、TPPの問題が浮上している「いま」だからこそ、この映画は、少しでも多くの人に観てもらうべきだと私は思います。

映画のなかで直接、震災や原発、TPPの言葉が出てくる訳ではありません。
この映画が撮影されたのは3.11の前であり、TPPの問題が表面化するよりも以前のことだからです。
しかし、この映画は、東北の震災と福島の原発事故、そしてTPPの問題を見つめ直すのに、とても重要なテーマをいくつも含んでいます。
農業の後継者問題、飼料の高騰、農家の失業、自殺、人と人とのつながり、家族の絆、土地と人を結びつける山や田畑の風景・・・

この映画に出てくる岡山の小規模な酪農家は、東北の震災や福島の原発事故、TPP問題で苦悩する酪農家の姿と重なるものがあります。
「ひかりのおと」では、物語のなかで農家が自殺を試みるシーンがありますが、これはいま、まさに福島や東北で起きている現実であり、TPPへの参加で、さらに深刻化するであろう事態の予兆でもあると私は思います。

TPP参加に備え、「競争力のある農業」「強い農業」「やる気のある農家」を増やせと連呼するこの国の政治家たち。
高齢化が進んだ現在の農家数を減らし、資本の力を持つ大規模農家にまとめて土地を管理させるほうが、この国の「経済」にとって「効率的」だと、彼らは言います。

しかし、国の経済にとって効率的でも、その国に住む「人」にとって、それは良い選択なのでしょうか?
高齢化が進んでいる農業だから、農家の人口が減ってもいいのでしょうか?
土地が少なく、資本も少ない家族経営の農家だから、競争原理で淘汰され、離農を余義なくされてもやむを得ないのでしょうか?
「競争力」のない農家は、失業して、借金を背負い、路頭に迷って、自殺を図ってもいいのでしょうか?それは国の経済のために当然のことなのでしょうか?

農業の「効率化」と「大規模化」、そして貿易の「自由化」が、この国の形を変えるのだと、それがまるで良いことのように政府とマスコミは報じます。
しかし、農業の「効率化」「大規模化」そして貿易の「自由化」は、格差の拡大と、さらなる失業・貧困・自殺の増加を生み出します。
映画「ひかりのおと」でも、巨大な資本の流れに翻弄される農家の姿が、克明に描かれています。
TPPの言葉はなくとも、それに参加をすることがこの国に何をもたらすのか、この映画はそれを暗示しているようでもあります。


今、震災と原発事故で土地を追われ、畑や作物を理不尽に奪われた農家が大勢います。
福島の原発事故があって間もない3月末、キャベツ農家の男性が、6月には酪農家の男性が、それぞれ自殺で命を絶っています。
報道されていないだけで、おそらく農家の自殺は、東北でもっと起こっているのではないかと思います。

なぜ、農家の自殺が相次ぐのか。それは農家にとって、放射能によって汚された土地が自分の「存在の根源」だからです。
「存在の根源」とは、北海道大学准教授の中島岳志さんの言葉です。
長い年月をかけて耕してきた自分の土地、先祖代々引き継がれてきた土地というのは、自らの存在と一体化しているものであり、簡単に取り替えることはできない。だから放射能によって土地を汚され、作物や家畜を汚された農家にとっては、自身の存在そのものを否定されたに等しい、と中島岳志さんは指摘しています。

避難を強いられ、長年住み続けてきた土地から離れざるを得ない福島の人々。
「存在の根源」を失うということが、どれほど苦しいものか、それは経験をした方でなければわからないものがあると思います。
山も田畑も、海も川も、簡単に消えるものではないと私たちは思いがちです。
しかし、それらを人々の生活から一気に、そして大規模に消失させるのが放射能汚染であり、原発事故なのです。
私たちはそれを福島で目の当たりにしました。
原発事故は、人々から土地を奪い、風景を奪い、「存在の根源」を奪うものです。

映画「ひかりのおと」は、この「存在の根源」を考えるひとつの契機になると私は思います。
この映画では、酪農家と音楽の道の選択で悩み葛藤する主人公が描かれています。
音楽家としての夢を抱きつつも、農家の長男としての責任や、恋人との関係に悩み続ける主人公。
悩みを抱える主人公を根底から支えているのは、家族や、人と人とのつながり、そして身の回りにいる牛や、牛舎、古びた自宅、山々の風景といった、身のまわりの風景そのものなのではないかと私は思います。

映画「ひかりのおと」は、地方の若者が「存在の根源」の大切さに気付いていく物語なのだと思うのです。

私は、映画「ひかりのおと」を多くの人に見て欲しいと思います。少しでもたくさんの地方の人に見て欲しい。
それは、この映画を見て、自分の周りにある「存在の根源」を確かめて欲しいと思うからです。

テレビやパソコン、都会の街灯やネオンの明かりに照らされ、映し出されたものではなく、陽のひかりを浴びてたたずむ何気ない周囲の風景に「存在の根源」はあるのだと思います。

家族の絆、人と人とのつながり、見慣れた光景、野山の風景。失われてから気づくのではなく、今、自分の周りにある確かな「存在」を、大切にして欲しい。
それが、TPPの問題に揺れるいま、そして3.11の震災と福島の原発事故を目の当たりにしたいま、最も必要なことではないかと私は思います。

「ひかりのおと」の岡山県内巡回上映は、3月まで続きます。お近くにお住まいの方は、ぜひ一度ご観賞ください。上映の日程表は公式HPにて確認できます。
 「ひかりのおと」HP

3月以降、県外での上映も検討されているそうです。上映をご希望の方は陽光プロまでお問い合わせください。
陽光プロ 問い合わせ先
info@hikarinooto.jp 

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まとめtyaiました【映画「ひかりのおと」】

久々のブログの更新です。今日は、先日鏡野町で上映された映画「ひかりのおと」のコメントを書きたいと思います。映画「ひかりのおと」は、鏡野町のとなり、真庭市在住のトマト農家...

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岡山

先日は、野菜ありがとうございました。。
。。
岡山は、都会との距離感とか、位置で絶妙な地域ですね
。。
西過ぎず、都会過ぎず、、将軍家でなく、小数派でない、、おいしいラーメンのようです。

。。
一部の権力者が暴走している、戦時中の映し鏡ですけど

私たちは、感じて

どうしたいか?真剣に考え

まずは、行動するべきだと思います


Re: 岡山

kawakami 様

コメントありがとうございました。

生まれてから、ほとんど岡山県で過ごしているのであまり意識していなかったのですが、岡山は本当に住みやすい土地だなぁ、と最近感じています。

災害も少なく、気候も暖かく、街も大きすぎず、人も多すぎず、近くに緑もあり、山、川、海もあり、農産物もたくさんあり、ユニークな人も大勢います。

ただ、そんな岡山にも、大きな時代のうねりが押し寄せてきています。

これから「地方」は、大変な時代になってくると思うのですが、「おいしいラーメン」の例えのように、
良い意味での岡山を、これからも維持し、保っていきたいと考えています。



是非見てみたいですね

大変興味があります。
岩手なのでなかなか見る機会はないのかな?
でも、こういう意味のある映画は是非見てみたいですね
プロフィール

オオバヤシカズヒロ

Author:オオバヤシカズヒロ
岡山の県北、鏡野町にある大林農園のブログです。

栽培品目は ジャガイモ、ニンジン、サツマイモなどの根菜を中心に、夏はマクワウリ、秋・冬は食用ホオズキなどの変わった作物も栽培しています。

安全で栄養価が高く、そして美味しい野菜作りを、植物生理と土壌科学の視点から追求しています。

また野菜だけではなく、そのほか様々な食品を通じて、人が健康であるためには何が大切なのかを探求しています。

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